暗号資産(仮想通貨)の取引をする上で”いろいろな意味”で避けたいのが税金ですよね...。
ホンネを言ってしまうと税金の事ってあまり考えたくない!
価格変動の激しい暗号資産の取引では、運よく大金を得る人もいると思います。
「こないだ買った草コインが爆上がりしたぜ!大儲けだ!やったー♪」
という感じで気楽に楽しんでいれたら幸せです。
しかし現実はそう甘くはありません。
厳しい事を言うようですが、それメッチャ危険なんです!
放置しておくと上乗せペナルティーを課せられたり、信じられないような額の納税通知が届いたりして「多額の税金地獄にようこそ!」みたいな状況になりかねません。
そんな事にならないようしっかり税金の事を知って資金管理し、正しく申告・納税しておく必要があります。
でも大丈夫です。安心してください!




これらの悩みや疑問、不安を持っている“すでに暗号資産取引で利益を得ている人”や、“これから利益を出すために頑張っている人”がスッキリ解決できる記事になっています。
なぜなら、「暗号資産における税金の区分」から「課税対象になる5つの判断ポイント」「税金を計算するときの3つのルール」「株やFXとの税制面での違い」これらを踏まえた「節税対策」まで順番に分かりやすく解説されているからです。
この記事を読むことで、今まで税金に触れてこなかった人でも、「いまこのくらいの損益がある!」という情報をあてはめて考えるだけで税金に対するモヤモヤはなくなり、おまけに節税対策も知れます。
税金は難しいイメージがありますが、意外とスラスラ理解できちゃうと思いますよ!
ではサクッと理解していきましょう。
目次
暗号資産(仮想通貨)で得た利益は雑所得
現在、ビットコインなどの暗号資産で得た利益は原則として「10種類ある所得税」のうち「雑所得」として課税の対象となります。
ではまず10種類ある所得税の分類をみてみましょう。
(ここはザックリ所得税ってこんな感じで分類してあるんだな程度で大丈夫です。)
所得税の分類
- 給与所得…勤務先から受け取る給与・賞与など
- 事業所得…自営業により得る所得(Youtuberなども事業所得者)
- 退職所得…退職金にかかわる所得
- 利子所得…預貯金や公社債の利息による所得
- 配当所得…株主配当や投資信託の分配金による所得
- 不動産所得…不動産の貸付などで生じる所得
- 譲渡所得…土地、建物、株式投資の売買で得られた利益など
- 山林所得…山林に生えた木々の売却等による所得
- 一時所得…懸賞金や保険の満期金、拾ったお金の謝礼金などの臨時収入
雑所得とはこれら9種類に当てはまらないものを指します。
課税の対象となる5つのポイント
暗号資産(仮想通貨)で得た利益が課税対象になる主な条件や注意点を5つのポイントにまとめました。
ポイント
- 会社員や個人事業主で雑所得が年間で20万円を超える場合は確定申告が必要
- 利益を確定させなければ所得税は発生しない
- 「暗号資産の売却」「暗号資産の交換」「暗号資産で商品を購入」が課税対象
- マイニングの対価として得た暗号資産は、その作業に要した電気代や機材の購入費用を経費として暗号資産の時価から引いた利益が課税対象
- 20万円以下でも住民税については申告が必要
これら5つのポイントを頭の片隅にコピペしておいてください。
忘れてしまったらまた戻ってきて見直してみて下さいね。
まずは20万円のボーダーラインを意識しておくと良いと思います。
暗号資産を保有しているだけだと課税対象にならないので、その範囲で利確するのも税金をかけないための手段となります。
では次に課税対象となる「暗号資産の売却」「暗号資産の交換」「暗号資産で商品を購入」をした時の税金を計算してみましょう。
「暗号資産の売却」した場合の計算
暗号資産を売却した瞬間に利益または損失が確定し、売却金額が購入金額より高ければその利益が課税の対象になります。
計算例
1BTC=10万円で購入したビットコインを1BTC=50万円で売却した場合
売却金額50万円 − 購入金額10万円 = 差額40万円が課税対象となります。
「暗号資産の交換」をした場合の計算
暗号資産と他の暗号資産を交換した際に利益・損失が確定し、交換した時の時価が購入金額より高ければ課税の対象になります。
計算例
1BTC=10万円で購入したビットコインが1BTC=50万円の時に、30万円分の他の暗号資産と交換した場合
暗号資産の交換価格30万円(0.6BTC分) − 購入金額10万円 = 差額20万円が課税対象となります。
残った20万円(0.4BTC)は交換していないので課税対象にはなりません。
「暗号資産による商品の購入」をした場合の計算
商品代金を暗号資産で支払い購入した際に利益・損失が確定し、決済時の時価が購入金額より高ければ課税の対象になります。
計算例
1BTC=10万円で購入したビットコインが1BTC=50万円に値上がりした時に、30万円のPCを購入する場合
PCの購入金額30万円(0.6BTC分) - ビットコインの購入価格10万円 = 20万円が課税対象となります。
今回の例では分かりやすいように簡単な数字をあてはめて計算をしましたが、暗号資産での買い物や他の暗号資産と交換した時には、ややこしい計算が必要になる場合もあります。
難しいと感じた時には「持っていた暗号資産を売って、そのお金で購入や交換をした」と考えると良いでしょう。
暗号資産にかかる税金を計算するにあたっては、それぞれの取引履歴や交換時のレート、商品を購入した際の領収書などをもとに損益をまとめておく事が大切です。
暗号資産(仮想通貨)の税金計算でおさえるべき3つのルール
暗号資産で得た利益にかかる税金を算出する際は、以下の3つのルールを確認してから考えましょう。
3つのルール
- 「移動平均法」か「総平均法」のいずれかを選択
- 1年間の各所得を合算して課税する「総合課税方式」
- 所得額によって税率が上がる「累進課税」で算出
すこし難しいワードが増えてきましたが大丈夫です。
順番に理解していきましょう!
1.「移動平均法」か「総平均法」のいずれかを選択
暗号資産で得た利益のうちの課税所得を計算する場合には「移動平均法」もしくは「総平均法」のいずれかを選択します。
「移動平均法」とは、暗号資産を購入するたびに購入額と残高を平均して所得を計算する方法です。
「総平均法」とは、1年間に購入した暗号資産の平均レートをもとに計算した総購入金額と売却合計金額の差額(所得)を計算する方法です。
注意するポイントとしては、1度選択した計算方法は翌年以降も継続して使用するというルールがあることです。
2. 1年間の各所得を合算して課税する「総合課税方式」
暗号資産で得た利益は所得税のうちの「雑所得」に分類されます。
雑所得は1月1日から12月31日までの1年間に得た給与所得などの各所得を合算して課税対象とする「総合課税方式」が採られています。
そのため、アフィリエイト報酬やFX、メルカリなどで得た利益も合計して課税される点に注意しなければなりません。
3.所得額によって税率が上がる「累進課税」で算出
所得税は収入に応じて課税率がアップする「累進課税」により算出されます。
「すべての所得を合算した総額によって課税率が変わる」という感覚で次の表を見てください。
No.2260 所得税の税率 所得税の速算表(国税庁)
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
1,000円 から 1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 から 17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 から 39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
上記の表の通り、すべての所得から必要経費を控除した所得額に応じて、5~45%の税率で所得税が課せられます。
でもちょっと待てよ?
税率は分かったけど控除額ってどこから算出されているの?
と思った方のために補足しておきます。
(不要な方は読み飛ばしてください。)
実は...所得税の計算って課税所得金額が500万円の場合、この500万円に税率20%が適用される訳ではないのです!
500万円のうち、195万円までは5%、195万円~330万円までが10%、330万円~500万円までが20%の課税率と区分して計算されているのです。
ではそれぞれ計算してみましょう!
区分ごとの課税率の計算
195万円 × 5% = 9万7,500円
(330万円 –195万円) × 10% = 13万5,000円
(500万円 – 330万円) × 20% = 34万円
これらを合算すると57万2,500円になります。
この数字が課税所得金額になるわけですが、次に上記の表をもとに計算すると
500万円 × 20% - 42万7,500円(控除額) = 57万2,500円 になります。
同じ金額になりましたね!
それぞれ計算するのは面倒なので「所得税の速算表」にあてはめて計算すればすぐに課税所得金額が分かります。
国税庁さん便利な速算表を作ってくれてありがとうございます。
では所得税の計算方法が分かったところで実際にどのくらいの所得税がかかるのか、ビットコインの取引で利益を得た場合を想定して考えてみましょう。
例1:ビットコインの利益がない場合
年収 500万円
課税所得 300万円(所得控除を控除した金額 仮定です)
雑所得 0万円(ビットコイン取引の雑所得なし)
所得税額 300万円 × 税率10% − 控除額9万7,500円 = 20万2,500円
例2:ビットコインの利益が100万円ある場合
年収 500万円
課税所得 300万円(所得控除を控除した金額 仮定です)
雑所得 200万円(ビットコイン取引の雑所得あり)
所得税額 300万円+100万円 × 税率20% − 控除額42万7,500円 = 37万2,500円
ビットコインの取引で100万円の利益を得た場合、17万円も所得税の負担が増えました。
今回の例では暗号資産の利益が100万円でしたが、前に購入して塩漬けにしていたビットコインが高騰して、いわゆる「億り人」に突然なった方などは嬉しい反面、多額の納税義務が課せられてしまいます。
さらに課税所得が増えると住民税や健康保険などの社会保険料の負担も大きくなります。
課税額をしっかり把握し資金管理をしておかないと「税金地獄」に陥る可能性もあるので注意が必要です。
また課税額を減らす為には医療費控除や住宅ローン控除などの控除制度があります。
申告する際は税務署や税理士などの専門家に相談すると良いでしょう。
株式投資やFXよりも不利?損益通算と繰越控除
黒字と赤字を相殺できるのが損益通算です。
株式や投資信託などの売買で得られる譲渡所得や不動産所得、事業所得などは損失が生じた場合に、利益がでている所得から差し引き課税対象額を減額することが可能です。
しかし暗号資産(仮想通貨)の場合は、暗号資産同士の損益や雑所得内での損益は差し引きができますが、他の金融資産などに対して損益通算はできません。
赤字を繰り越せるのが繰越控除ですがこちらも…。
株式や投資信託などでは利益から差し引いてもさらに損失が残る場合、向こう3年は赤字を繰り越すことができます。
しかし繰越控除でも暗号資産は対象外となっており、年をまたいで赤字を繰り越すことはできません。
株式投資やFXとの課税率の違い
金融商品で得た利益(配当所得、利子所得、その売買で得た譲渡所得)はほとんどのケースで「分離課税」が適用されます。
株式投資などで得た売却益の所得税税率は一律15%、住民税は約5%であるのに対して、暗号資産は「総合課税方式」と「累進課税」により所得税は最大45%、住民税は10%とその差は大きいです。
またFX取引で得た利益も雑所得であるものの、こちらは特例として所得税・住民税合わせて20%の分離課税が適用され、損益通算と繰越控除も認められています。
これらの点をふまえると今のところ暗号資産(仮想通貨)は他の金融商品などと比べても税金面では不利な状況といえます。
税率が高いからこそ知っておきたい!5つの節税対策
これまでの解説からお分かり頂けたように、暗号資産(仮想通貨)における課税率は他の金融商品などと比べると非常に高く設定されています。
しかし逆を考えてみると、課税率が高いということは節税対策をした時の効果も大きいといえます。
となると節税対策をしない手はありませんよね!
もともとはあなたが時間を割いて情報を集め、考えて、リスクを背負いながら投資して得た大切な資産なのですから。
節税対策法を知って可能な限り課税率を下げておきましょう。
下記に有効な5つの節税対策をまとめました。
5つの節税対策
- 年間20万円以下の利益で確定する
- 経費の計上をしっかりと行う
- 損益通算を活用する
- ふるさと納税を活用する
- 法人化する
1.年間20万円以下の利益で確定する
暗号資産は利益を確定させなければ所得税は発生しません。
確定申告が必要になるのは年間20万円を超える雑所得を得た場合だけなので、20万円以下になるように利確して、残った暗号資産は翌年までガチホしましょう。
2.経費の計上をしっかり行う
暗号資産の取引で必要経費と認められる項目としては
・売却した暗号資産の譲渡原価
・売却の際に支払う手数料
・インターネットの回線利用料や電気代
・取引に使用するパソコンの購入費用
などがあげられます。
これらを経費として計上する際にはいくつか注意点があります。
「インターネットの回線利用料や電気代」や「取引に使用するパソコンの購入費用」などは、暗号資産の売却に必要な支出だと認められる部分の金額に限って必要経費とすることが可能とされています。
またパソコンなど1年以上使用可能であり、一定金額以上の価値がある資産については、使用可能期間の全期間にわたって減価償却しなければなりません。
3.損益通算を活用する
ほかの所得との損益通算や繰越控除はできませんが、暗号資産という枠の中でなら年内に限り損益通算をすることができます。
例えば、暗号資産の取引で500万円の利益が出ている場合を考えてみます。
500万円の含み損がある他の暗号資産を売却して500万円の損失を確定させると、その年の損益通算は0円となり所得税はかかりません。
ここで含み損があった暗号資産を、売却直後に同価格で買い戻せば損益通算を0円にしたうえに暗号資産はもともと持っていた状態を保つことができます。
なんだかチートっぽいですが、しっかりルールが設けてあるので注意してください。
注意ポイント
・損益通算のために自分が経営する法人や親族などに低額で売却して損失を出すという方法は使えない
・相場の70%相当額未満で売却した場合は、時価の70%相当額から対価の額を差し引いた金額を雑収入の総収入金額に入れる必要がある
4.ふるさと納税を活用する
ふるさと納税はすでに活用されている方も多いと思いますが、応援したい自治体に寄付ができる制度のことです。
ふるさと納税の寄付金は所得税や住民税の還付・控除を受けられ、実質自己負担額が2000円で自治体から特産品や宿泊券などいろいろなお礼品がもらえます。
ただ税金を納めるよりもふるさと納税を活用した方が断然おトクです。
また、控除上限額は所得などによって異なるため確認してみて下さい。
5.法人化する
法人化することは前述で挙げた節税対策と比べたら少しハードルが高い気がしますが、暗号資産の取引でそれなりに高額な利益を得ている場合は効果が大きいです。
法人税は所得税と違って、所得が800万円までは税率15%、800万円を超える場合は約23%と累進課税率が低くなっています。
所得税は最大で45%の課税率ですのでその差はとても大きいです。
また利益や損失が出た場合に、法人のほかの営業活動から生じた損益や経費と相殺できる損益通算も適応されます。
さらに損益通算しても赤字の場合には、翌年以降に赤字を繰り越して利益から引く繰越控除(10年間)ができることもメリットといえます。
海外取引所を利用すれば税金は払わなくてもバレない?
たとえバイナンスなどの海外取引所を利用していたとしても、日本に住んでいる限りは日本の税制に従って課税されます。
メールアドレスだけで登録ができるウォレット(暗号資産の口座)を利用すると取引の流れを把握されにくくはなりますがバレない保証はどこにも無いので安易な考えは禁物です。
また高額の入出金は日本の取引所を通じて税務当局に追跡される可能性があるため、ある程度の取引状況は把握されていると考えたほうが良いです。
正しく税金を納めない者には厳しいペナルティー!50%上乗せの可能性も!
税金を滞納した場合の税率は最大で14.6%で、延滞した日数に応じて額が増していきます。
内容が悪質だと最大50%の重加算税を課されることもあるので期限までに正しく納税しましょう。
国税の納付期限は原則毎年2月16日から3月15日までとなります。
今後は他の金融商品を考慮して税制が変わる可能性もある?
現在のように株式や投資信託、債券などの主な金融商品が20%の「分離課税」の対象となって「損益通算や繰越控除」ができるようになったのは2016年以降と比較的最近のことです。
またFXについても「総合課税」から「分離課税」となったのは2012年以降であり、FXやその他の先物取引の損益でも「損益通算」ができるようになりました。
その時の経済政策や世界情勢によって投資環境は改正されています。
今後、暗号資産についても需要が増えて国がどのように捉えるかによって他の金融商品と同じように税制が変わっていくかもしれません。
実際に「税率20%の分離課税」や「損益通算と繰越控除」の適用、「少額決済の非課税化」などが要望として出されています。
とはいえ現状は高めの税率が適用されているため、ズルはしないで正しく納税して暗号資産の運用をしていきましょう。